HOME | 「宗祖覚恵上人」略伝【9】

中山身語正宗のあゆみ

中山身語正宗のあゆみ

「宗祖覚恵上人」略伝

第二世覚照猊下と、妻・如峰(宗祖の三女)

第二世覚照猊下と、妻・如峰(宗祖の三女)

【9】後継者の育成 〜引き継がれる仏様の心〜

 晩年の覚恵上人に残された役割は、仏様の手足となり人助けをしてくれる人材を育てることでした。絶えず仏様の働きかけを実感できる覚恵上人の行動や考えはすべて仏様の心に沿ったものでした。率先垂範(そっせんすいはん)、意図せずとも、信徒たちは多くのことを覚恵上人の姿から教えられます。わが身の利害にとらわれず、あやまちにはいち早く気づき、改め、良いことはどこまでも持ちとどける確固たる信念、そして仏様に向かい行ずる時の真摯 (しんし)な姿から誰もが学ぶことができたのです。
 昭和13年には、本宗僧侶の育成のための講習会が開始されます。その最後にはいつも、「み仏を信じて行じて縋 (すが)って縋って仏に出会うまで縋れ」と教え諭 (さと)されました。

 また、とりわけ覚恵上人の後継者と仏様から示された義理の息子覚照の育成には、心血を注ぎます。昭和8年優秀な成績で高野山大学を卒業し帰郷した覚照に対して、覚恵上人は、仏様から授かったとして、「宗祖の三教」とよばれる教えを諭します。
 その時に覚照は大学で身につけた学問や理論の尺度だけでは推(お)しはかれないとてつもない大きな世界、学問を越える生きた信仰の世界があることに気づかされます。これを期に、覚照26歳、身語正行者として第一歩をあゆみ始めます。覚恵上人はそのような後継者の覚照に今までに得た「生きたご法」「生きた信仰」のすべてを授けていきます。