中山身語正宗

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平成28年2月

宗教学から見た中山身語正宗[12]

宗教集団とは何か

宗教集団の四つのタイプ

宗教と言えば、宗教集団(以下「宗団」)をイメージする人が多いでしょう。今回は、この宗団の種類や性格について見ていきたいと思います。
宗団は、①教義(開祖)、②儀礼(儀式行事)、③信者(人的組織)、④施設(物的装置)の四つから構成されると言われます。つまり宗団とは、その創始者である開祖によって体現された「教義」に基づき、「儀礼」を行い、共通の信仰をもつ「信者」が「施設」に集まり、ある種の共同体を形成して活動するものなのです。

欧米社会では、人は何らかの宗教に所属することが当然とされ、宗教もその人のアイデンティティの一部になっています。日本人のように、結婚式はキリスト教の教会で行い、お正月には初詣で神社を参拝し、葬儀・法事はお寺で仏式で行うなど、自由な信仰のあり方は珍しいようです。
宗教学者のM・ウェーバーやE・トレルチは、宗教の社会的機能を調べるために、キリスト教の組織を、その社会の主流派である「チャーチ」と少数派である「セクト」に分けました。国教やそれに近い影響力を持った宗教集団が存在する場合、その社会の構成員の多くは生まれたときからその集団に帰属します。これがチャーチであり、たとえば中世のカトリック教会やイギリスの国教会などです。私たち日本人で言えば、地域の氏神を祀る神社の氏子であったり、檀那寺の信徒であるというような場合、あるいは新宗教でも二世以降の信者の場合などがこれに相当するでしょう。
チャーチは伝統教団としてある程度確立されているので、地域社会とも密接に結びつき、聖職者(プリースト)は特殊な権限を持ち、伝統的な儀礼の執行などによって信者たちの尊崇を受けます。

一方、キリスト教のプロテスタント諸派のように、宗教的真理に目覚めた個々人の自発的・意識的な参加による結社的な集団がセクトです。セクトでは、聖職者と一般信徒との間の区別は小さく、すべての構成員が真理の実現に責任を持つとされます。宗教的理想の実現に燃え、体制批判などを繰り広げるので異端視される場合もありますが、現実的救済へ向けての活力があります。
なおセクトのメンバーであっても、やがて安定した社会的評価や地位を得ると、社会のあり方に妥協的になり、しだいにチャーチに似た性格を持つようになる場合もあります。これを「デノミネーション(教派)」と言い、アメリカなどで多く見られます。

さらに、宗団の類型としてはもう一つ「カルト(ミスティック)」という形もあります。カルトといえば、日本では反社会的集団のようなイメージが定着していますが、もともとは神との合一など個人の内面的体験を重視する神秘主義的な傾向の強い小集団を指します。精神世界やニューエイジなど、集団的な形を取らない神秘主義的な運動などもこのカテゴリーに分類され、神秘体験の重視という点に特長があります。
さて、本宗はどの形に近いでしょうか。本山と末寺ではまた違う役割もありますが、いずれも上記の要素をいくつか併せもっているようにも思われます。
複雑化する現代社会において、宗団は時代や地域と無縁ではいられないでしょう。今後はさらに、時代や地域への適切な働きかけが求められてくるように思われます。(了)

『こすもす』399号(平成26年3月5日発行)
「神仏の輝き」より
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