平成29年・バックナンバー

平成29年06月
色即是空 空即是色 (6)

学びの森



その時々、一瞬一瞬をかけがえのないものとして
 一本のウィスキーなどを愛おしみつつ飲む人には、必ず「まだ、こんなにある」と思い続ける間と「もうこれだけか」と思い始める瞬間との間に微妙な境があるものです。その境は、1本のウィスキーを愛おしむ「こころ」の在り方から生まれてきます。「こころ」とは、「ものの見方、考え方」のことです。だから、その人が「どのようなものの見方、考え方」をしているかによって境は様々に変化します。

 仏教は、すべての物事(色)には、永遠不変の本質がないといいます。ウィスキーは飲めば減ります、愛飲者は、飲むたびに減っていくウィスキーを眺めながら自分の「ものの見方、考え方」に従って「まだ・・・・」といったり「もう・・・・」といったりしているのです。
そしてきっと「まだ・・・・」といっている時と「もう・・・・」といっている時とでは、とても大きな気持の上での差があるはずです。

 仏教は、「こころの安らぎを求めようとする信心をしたい」と願う信仰です。ですから、出来ることならば1本のウィスキーを飲み干すその時まで「まだ・・・・」といいつづけ、決して「もう・・・・」とはいわない自分でいられれば、きっとその人の「こころの安らぎ」も安定したものになっているに違いありません。

 もしも、そのように思いつづけていける人がいたとしたら、その人にとって1本のウィスキーを愛おしみつつ飲むその時々のウィスキーの量は「まだ・・・・」という充実感に満たされたものとなっていることでしょう。

 すべての物事(色)には、永遠不変の本質がない(空)。だから、その時々に新たな「色としての相(すがた)」を見せつつ変化し続ける。そして、その時々の相が、その人にとってかけがえのないものと確信される時、空なるが故にその時々に現わし出される色の相をかけがえのないものとして受け止めていけるに違いありません。

 「色即是空 空即是色」と題して6回お話をしてきましたが、いかがだったでしょうか。次回からは、テーマを改めて綴っていくことといたします。(乘慶)



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